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盛岡もののけ日記

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2006年 12月 10日

狐を放つ

またもや生まれた田舎の話。
自分は小学校高学年だったと思う。

ある日 母が真面目な顔で
誰かが狐を放したそうだ』と困ったように云った。

「・・・狐?????誰か飼ってるの?」

『生きてる狐じゃなく、神社に居るヤツ』

「・・なにそれ??」

ともかく私の理解の超える範疇だったが
まあなんというか 「そっちの世界」の話だという事だけ解った。

胡散臭いと信じていない自分だったが
母のあまりの真剣さを見ていると不安になってきた。
なんせ家の隣は神社なのだ。

そのうち母は遠方の神主さんを呼び
床の間の前で神主さんが祝詞をあげ
あのヘイソク(というのだろうか?)を振り回し
部屋中に米と塩を撒いたのは鮮明に憶えている。

「窓にニンニクを置いても(狐が)中に入って来ないそうだ」
とかなんとか母が云うので
自分の部屋の出窓にニンニクを置いたり塩を置いたり
一体何がなんだか解らぬまま言われたとおりの処方に従った。

私は鍵っ子で学校から帰ると一人で留守番をしていた為
「信じる」とかでは無く「不安なもの」はとても怖かった。
そして愛犬ラッキーは益々私の大切な相棒となった。

狐を放ったというのは何処に根拠があるのか?
そんな噂は何処から聞こえてくるのか?
詳しい事は全然教えてくれ無かったが
従わずには居られない「何か」は母から感じた。

※ 南部猫、どんな田舎で育った?とお思いでしょう・・
確かにど田舎です・・でも人里離れた処ではなく
床屋とか魚屋とか酒屋とか雑貨店とかは有るような
そんな東北の田舎です。

by nanbuneko | 2006-12-10 23:59 | もののけの気配 | Comments(6)
Commented by tomokeda at 2006-12-11 10:20
nabunekoさんは、岩手の田舎出身?それとも他の県の田舎出身?
私は、岩手の田舎出身です~。σ(^_^;)アセアセ
お母さんの狐の話し、鍵っ子の小学生には、かなり怖い話しだよね。
Commented by Honig-Biene at 2006-12-11 14:16
その狐は、イヅナと呼ばれている狐ではありませんか?
確か、東北の修行僧が伏見稲荷で狐を捕まえて持ち帰り、使役したハズ。

>どんな田舎で育った?
(笑)うちも田舎ですが、nanbunekoさんのところのような素敵なお話が
残念ながらありません。うらやましい環境だと思いますよ(^^
Commented by nanbuneko at 2006-12-11 18:55
■tomokedaさん、私は南部藩の田舎出身です(^^
>狐の話・・・・・・
そうなんです。ちゃんと説明された訳でもないので、一人で家に居るのはとても不安でした。
いまだにニンニクの置かれた窓越しに見つめた神社は
不安な気持ちとともに記憶に残っています。
Commented by nanbuneko at 2006-12-11 23:25
■Honig-Bieneさん、
イズナをご存知とは流石詳しいですね!
熊倉隆敏・もっけ1に岩手県衣川村で狐落としの際、飛び出したイズナがガラス瓶に入れられてる写真があります。
またナガレイズナの話も載っています。

因みにイズナは猫が苦手らしいです。。。
Commented by Honig-Biene at 2006-12-12 13:47
ガラス瓶入りですか!ちょっと見たい。
そういえば、明治初期の万国博覧会に「イヅナ」と明記して出品された
らしいですね(苦笑)

>猫が苦手
そうなんですか!となると、猫屋敷が近いのもいいことなんですね(笑)
ちなみに、狐憑きには狼の守札が効くらしいですよ(^^
Commented by nanbuneko at 2006-12-12 20:27
■Honig-Bieneさん、>ガラス瓶入り
私にはイタチのようにも見えますが・・・・・
因みにその瓶入りのモノは「イヅナ」と表記されています。
もっけのお話に出てくるのは「イズナ」です。

ほおお 狐憑きには狼の守札ですか。
実は・・・その「狐憑き」の話も田舎には当然あって(笑)
(単に病気という話も有りますが)書こうと思っていたのです。
やっぱどんな田舎だよ~って思われても仕方ないか・・・


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